小学生の淡い思い出がお菓子の味を引き立たせます。


昔を思い出すとお菓子の味が引き立ちます。

記憶を引き金にして、もう戻れない時間を想い

今の自分を楽しむ。そんなお菓子と思い出を楽しむ記事です。

似た体験・体験できなかったけど浮かぶ切ない想い。

とっても、チョコレートの味を引き立たせます。

小学5年生のある日

ちらちらと雪が舞っていた。

日本の東側は、どうもホワイトクリスマスには縁がないようだ。

年に1,2回降る雪は決まって新しい年になってからだった。

いつもなら1月か2月に降ることが多かったが、

その年はめずらしく3月に雪が降ったのだった。

そう、その日はホワイトデーだった。

ホワイトデーが本当の意味で「ホワイト」デーになったので、話題になったのを今でも思い出す。

 

その日、まだ小学生だった僕は、朝から落ち着かなかった。

バレンタインデーに好きな女の子からチョコレートをもらった。

青い外国製の缶かんに色とりどりの柄が入ったアルミホイルにていねいに包まれていた。

 

病弱なあの子は、いつも笑顔がステキだった。

自分こそが一番好かれている。

そう思えたのは一瞬だった。

なんと、仲良しの男子たちにも配っていたのだ。

どうしても、あの子の気持ちを確かめるためたい思いにかられた。

僕はホワイトデーに一生をかけた大勝負に出る事にした。

当時は手作りチョコレートこそが本気を伝える最高の手段という噂が僕たちのまわりで出回っていた。

作り方を知らなかった僕はいてもたってもいられなくなり、

僕は母親に頼み込みホワイトデーのお返しを手作りで用意した。

それは、不器用で細長いホワイトチョコレートだった。

仕上げの粉砂糖を細長い小さなホワイトチョコレートにふりかけると、

いよいよ雪らしさが増して、子ども心にとてもわくわくしたのを今でも覚えている。

母の一工夫で、ピンクローズのアルミホイルに包みステキなプレゼントに変身した。

運命の日

そして、好きな子にお返しを渡す運命の日、

前日から緊張のあまり眠れなかった。

ふと窓を見ると、白い雪が外で舞っていた。

「雪だ・・・」 3月に、珍しいな、と思いながら

、作ったばかりのホワイトチョコレートを思い出して、

まるで天気まで僕の事を応援してくれているような気になった。

眠れぬベッドの上で半身だけ起こして「よし」と小さく呟いた。

翌日、雪が舞う中、意中の女の子にピンクローズでラッピングしたホワイトチョコレートを渡しながら告白した。

「ありがとう」という返事が返ってきた。

「私も」と続くのを期待したが、

中身をそっと開けて「今日の天気にピッタリだね」と満面の笑顔で続けた彼女を見て、

「ああ、かわいいなぁ」と思わず見とれてしまい、返事をもらうのをすっかり忘れしまった。

大人になった僕は、チョコレートに囲まれるパティシエになった。

でも、ホワイトデーになると

もう出会えなくなった彼女を思い出す。


コメントを残す